第7章 薬の話 認知症症状に効果があると認可されている薬2項・ガランタミン・レミニールとリバスチグミン・リバスタッチ
②ガランタミン・レミニール
これは、アセチルコリン分解酵素阻害薬の働きをするお薬ですが、阻害する方法が競合阻害型であることでアリセプトと違っています。その他、こみいった話になりますが、ニコチン性アセチルコリン受容体に結合して陽イオンの通過性を亢進する働きも併せ持ちます。
薬が働く時間の半減期は7時間とドネペジルの70時間に比べて短いのが特徴で、そのため一日2回の服用になります。少量から4週ごとに増量して12㎎を毎日2回服用で維持します。
一日2回の服用は、面倒なようですが飲み忘れによる血中濃度低下が少なく、一日1回に比べて薬用効果維持には飲み忘れの危険影響が少ないと言えます。
この薬も、アリセプトと同様に、過活動を引き起こすことがありますので注意が必要です
③リバスチグミン・リバスタッチ
これもアセチルコリン分解酵素阻害薬の働きをするお薬で、阻害する方法が非競合型とドネペジルと同じ方法です。加えてブチルコリン分解酵素を阻害する働きがあり他の2剤よりもアセチルコリンの代謝を抑えます。またアルツハイマー病の進行によるブチルコリン分解酵素の増加をも抑えるため、病気が進行しても働きが効果的に働き続けます。
このリバスチグミン薬剤は嘔気が強いため、経口で服用するのでなくパッチ剤として皮膚からの吸収という方法を採っています。お薬を飲むことが苦手な方でも、皮膚に貼るだけですので、楽に使えます。ただ、皮膚の弱いカブレ易いかたは皮膚科のお薬を使うことになります。
このお薬は、一日一回の貼り薬です。上半身の皮膚に張るために着替えをするときに貼るのがお勧めです
一日1回で4週ごとに増量して18㎎で維持します。
この薬も、アリセプトと同様に精神、行動の過活動を引き起こすことがありますので注意が必要です。
占部 新治(うらべ しんじ)
- 経歴
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- 1976年
- 北海道大学 医学部 医学科卒業
- 1980年
- 北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
- 1980年
- 北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
- 1981年
- 北海道大学 医療技術短期大学部 理学療法学科 助教授
(現:北海道大学 医学部 保健学科)
- 1995年
- 札幌医科大学 精神医学講座 講師 外来医長
- 1999年
- 札幌医科大学 保健医療学部 作業療法学科 教授
- 2001年
- 札幌医科大学 大学院 保健医療科学研究院 教授
- 2007年
- 北海道大学 大学院 保健科学研究院 教授
- 2011年
- 京都 三幸会 北山病院 副院長
- 2013年
- 京都 三幸会 第二北山病院 副院長 現在に至る
- 専攻領域
- 精神医学、 神経科学、 リハビリテーション医学
- 主な著訳書
- 日経サイエンス「 運動の脳内機構」 E.V.Everts著
- 主な著書
- 臨床精神医学講座 S9 アルツハイマー病(中山書店)、精神医学 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野(医学書院)、「学生のための精神医学」(医歯薬出版)
- 所属学会
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- 精神神経学会 専門医、専門指導医
- 老年精神医学会専門医、専門指導医
- 認知症学会専門医、指導医
- リハビリテーション医学会 臨床認定医
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