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コラム

認知症全般知識に役立つコラム

認知症学会専門医 占部 新治先生による、「認知症全般知識に役立つコラム」です。第1〜第4 金曜更新!

占部先生のプロフィール

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第3章食事の話 第1節 実は食事が治療と予防のポイントであること2項・控えた方がいい食材と、調理時のコツ

知らず知らずに摂取して、認知症へ近づいている場合も

認知症の方の脳内で見つかるものに重金属や細菌、カビがあります。
これらは、摂取しない限り脳内には出現しないものばかりです。即ち、知らず知らずに摂取しているということです。これらは、食品として身体に取り込まれ、脳に運ばれて蓄積します。重金属では水銀などが有名ですが、これはマグロに含まれて入ってきます。
マグロは海の食物連鎖の頂点に立つ魚です。小魚が摂取したものをそれより強い魚がえさとして食べ、ということを繰り返して濃縮され、大型の強い魚に多く取り込まれて、最後はヒトの食材として身体に入るわけです。
そのため魚ではサケ、サバ、イワシ、ニシン、アジ、サンマなどで天然物が良いのです。

これらを総合してみると、食材として、糖分摂取の観点からは、控えた方がいいのは甘いもの全体、お米、パンなどの炭水化物、炭水化物の多いでんぷん質、マグロなどの魚類、抗生物質の餌と人工肥料などで育成された鳥や豚、牛肉などがあります。
積極的にとった方が良いのは緑黄色野菜や葉物野菜の類です。

これらは、「控えた方が」という表現で示しますように、過剰に摂取しないようにということですので「食べてはいけない」ではありません。

味を変えずに、塩分量・砂糖量を減らす

認知症高齢者では、舌の味覚センサーの味蕾が減少するため、それまでの味付けでは薄く感じて物足りない気分になります。
それで多くの高齢者の方は、お醤油や塩をたくさん振りかけてしまわれます。ですが、高齢者では一日の必要カロリーは低くなっていますので、食べる量は減っているので、食事は少量にして同じ量の調味料で味付けをすると、相対的に味が濃くなります。
これで良いのです。
摂取する調味料の量は増えずに、全体量を減らすことで塩分量、砂糖量は増えないでOKです。

料理の温度も大切です。
味覚の感度は味により多少違いがありますが、料理が大体40度前後の時にヒトは、味覚が敏感になります。
したがって、美味しく食べていただくには、この温度が目安になります。
ちょっと横にそれますが、味付けに失敗したときは、熱くして出すか、冷やして出せば味は誤魔化せます。

占部 新治(うらべ しんじ)

経歴
1976年
北海道大学 医学部 医学科卒業
1980年
北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
1980年
北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
1981年
北海道大学 医療技術短期大学部 理学療法学科 助教授
(現:北海道大学 医学部 保健学科)
1995年
札幌医科大学 精神医学講座 講師 外来医長
1999年
札幌医科大学 保健医療学部 作業療法学科 教授
2001年
札幌医科大学 大学院 保健医療科学研究院 教授
2007年
北海道大学 大学院 保健科学研究院 教授
2011年
京都 三幸会 北山病院 副院長
2013年
京都 三幸会 第二北山病院 副院長 現在に至る
専攻領域
精神医学、 神経科学、 リハビリテーション医学
主な著訳書
日経サイエンス「 運動の脳内機構」 E.V.Everts著
主な著書
臨床精神医学講座 S9 アルツハイマー病(中山書店)、精神医学 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野(医学書院)、「学生のための精神医学」(医歯薬出版)
所属学会
  • 精神神経学会 専門医、専門指導医
  • 老年精神医学会専門医、専門指導医
  • 認知症学会専門医、指導医
  • リハビリテーション医学会 臨床認定医

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