第1章 症状の話 第1節 これも症状4項・認知症疾患の症状は千差万別
見逃してしまいそうになる「アレッ!?」がサイン
認知症疾患には多くのタイプがあり、症状も千差万別で、繰り返しますが障害される脳機能は様々で同じではありません。
ここに挙げた症状は、ほんの氷山の一角です。排尿問題が最初の症状といったものもあり、とても認知症との関係が分からない言動があります。
この様に、よくあることとしてついつい見逃してしまいそうになる事柄ですが、普段のその人となりからアレッと思うのが、実は認知症の始まりであることが多いのです。
普通にある場合は、その行為が出るだけの経過の流れがあって自然に受け入れられるのですが、経過の流れからして意外に感じる、違和感を覚える、毛色の違った言動と感じたり、おもわずそばにいた人と顔を見合わせてしまう、場が一瞬にして凍りついてしまったり、シーンを静まり返るような事態となる事柄が、認知症の兆しであることが、後になってそう言えばあの頃からおかしいなと感じ始めたという振り返りになります。
認知症は脳機能の障害
何も、記憶に関する事柄だけでなく、発せられる言葉や感情の発現、意図した行動や行為に対して、認知の異常をフッと気付いてしまうのです。
それだけ普段は周囲の事情の流れ、環境の認知や理解を無意識に通常状態を確認しているのです。
すなわち、普段何気なくやっている「歩く」と言う事でいえば、足の出し方が急に物をまたぐような出し方であれば、どうした?と気付くようなものです。
認知症では、脳機能の障害が大脳皮質全体でみられます。
特に被害を受けるのが両側の側頭葉で記憶が障害されますし、話や行動でその障害の様子が具体的に見て取れ、「覚えてない」は知的に問題とされるために目立ちます。
しかし、他の脳機能も障害されこのように様々な問題として、実は日々日常的にみられているのです。
占部 新治(うらべ しんじ)
- 経歴
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- 1976年
- 北海道大学 医学部 医学科卒業
- 1980年
- 北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
- 1980年
- 北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
- 1981年
- 北海道大学 医療技術短期大学部 理学療法学科 助教授
(現:北海道大学 医学部 保健学科)
- 1995年
- 札幌医科大学 精神医学講座 講師 外来医長
- 1999年
- 札幌医科大学 保健医療学部 作業療法学科 教授
- 2001年
- 札幌医科大学 大学院 保健医療科学研究院 教授
- 2007年
- 北海道大学 大学院 保健科学研究院 教授
- 2011年
- 京都 三幸会 北山病院 副院長
- 2013年
- 京都 三幸会 第二北山病院 副院長 現在に至る
- 専攻領域
- 精神医学、 神経科学、 リハビリテーション医学
- 主な著訳書
- 日経サイエンス「 運動の脳内機構」 E.V.Everts著
- 主な著書
- 臨床精神医学講座 S9 アルツハイマー病(中山書店)、精神医学 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野(医学書院)、「学生のための精神医学」(医歯薬出版)
- 所属学会
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- 精神神経学会 専門医、専門指導医
- 老年精神医学会専門医、専門指導医
- 認知症学会専門医、指導医
- リハビリテーション医学会 臨床認定医
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