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株式会社ニック ニック 45周年

コラム

現役ケアマネのリレーコラム【第5回】

ケアマネージャーのホンネを毎月更新!

A居宅介護支援事業所 福岡県
ちーマルさん

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介護支援専門員の仕事と私

はじめに

はじめに

2020年は、新型コロナウイルスの流行で世界中の人が命の危険を感じるとともに、これからの生活に対する不安の日々が続いている状況です。
そんな中、この仕事をこの場所で続けていくのか、別のことをした方がよいのかを模索していました。
そんな時に、「コラムを書きませんか」とニックの担当者から勧められ、自分の仕事の振り返りができるのであればと思い引き受けることにしました。
そこで、いままでいろいろな経験をさせていただいた中で、私の失敗談を紹介させていただきたいと思います。

初めて住宅改修を担当した時

住宅改修

手すりを玄関と階段、お風呂場に取り付けることになり理由書を作成し介護保険課に提出。支払いをお願いする段階になり、償還払いの説明をしていなかったことに気づきました。福祉業者さんと共に利用者様と家族に平謝りしました。
(私は心の中で、一旦自分が支払うことさえ覚悟していました)

何とか理解していただき支払いをして下さいました。「償還払い」はケアマネの試験で知っていたのですが、実際に現場で使うのは初めてで、本当の意味で理解していなかった自分に気づいた日でした。

コミュケーションのむつかしさ

この事例も住宅改修を希望される方で、屋外に手すりを取り付けたいとのことでした。手すりの種類と材質についてこだわりがあり、決まるまでに時間を要し更に手続きを踏む行為を嫌がり、工事を急がせる方でした。最終的には介護保険課に相談し、一緒に対応していただき、何とか工事にたどり着くことができました。

無理難題を言われ振り回されたあの時のことを、今も担当の方とよく話します。このことから、相手に理解していただくことの難しさを痛感しました。相手に分かるように説明するためには、自分がいかにそのことを理解していなければ説明は出来ないということです。ケアマネも手すりの種類や内容を多少は知る必要がありますね。(大変です)

在宅での看取り体験

介護

難病の利用者様でした。ご家族はできる限り自宅での介護を希望されていました。ところが、入退院を繰り返し、退院時のカンファレンスでは、病院側から、「こんな状態で自宅での介護は無理です。大変ですよ。施設ですね」と言われましたが、奥様は「主人は自宅に帰りたい。家に帰ると目が輝きます」と言われ自宅に帰りました。
(私も不安が無かったわけではありません)

シャワーキャリーを購入し浴室の洗い場を住宅改修しました。座位が取れる間は訪問看護師さんの協力を得て自宅でのシャワー浴を行いました。
「固形物は食べられません」と病院から言われましたが、自宅では、大きさや形状を工夫され、咳込みながらも一生懸命食べておりました。
ある日、往診の先生から命の時間を伝えられた数日後、奥様から「背中に発赤があり痛そうなのでエアーマットを入れてください」という希望がありました。しかし、食事も食べられず水分しか取れない状態で移動して良いか悩みましたが、主治医に相談しエアーマットを入れました。ところが、残念なことに次の日に亡くなられました。

一週間後、自宅を訪問しました。その時です。娘さんより「私、エアーマットに寝ました。腰に痛みがあり、いつもは眠りが浅いのですが、これだと身体を包まれるようで気持ちよく休む事が出来ました。父も亡くなる前にこんな気持ちだったと思うと、あの時エアーマットを入れてもらって良かったと思います」と話されました。それを聞いて、私は涙が止まりませんでした。

病院では無理と思われる状態の方でも本人・家族が望むのでしたら、納得できる生活を送る為に、寄り添いながら支援を行う事が、ケアマネとしての仕事ではないかと、この経験を通して感じました。この例のように、そういう選択をする家族ばかりではありませんから、専門職の方々の助言は必要だと思います。その上で、本人・家族に最終的な決断をしていただくことが大切なことではないでしょうか。

※主治医様・訪問看護師さん・福祉用具の方々お疲れ様でした。ありがとうございました。

私が介護者になった日

リハビリ

このコラムを作成している年末、私の母83歳が脊柱管狭窄症となり痛みの中テーブルを掴み損ねて転倒してしまいました。元旦には特に異常もなかったのに、2日にはベッドから起き上がることが、難しい状況になったと連絡を受け、急いで実家へ向かいました。痛みがひどく、トイレに間に合わないとのことで、6回分のパットを購入し付け方を教えました。

福祉用具が必要な状態でしたが、福祉業者さんも休みだし、どうしたらよいか考えました。その時に登山用ステッキを、母が持っていることを思い出し、実際に使ってもらいました。
「これだと少し楽に移動できる」と言ったので、これで様子を見ることにしました。4日の日を待ち、福祉業者さんに連絡し、ベッド横に、たっちアップ・歩行器・トイレの手すり・自費レンタルを依頼し、夕方にはすべて準備していただきました。(感謝です)

ところが、私が家族に相談せず準備したため、家族から、「突然、何これ、大げさ」と言われ、冷静にはいられず、つい「母の痛みが少しでも和らぎ、移動が楽にできるよう、環境を整えただけやろう」と声を荒げた直後、「ハッ」としました。私は、今まで介護する方の気持ちに寄り添っていたつもりでしたが、本当の意味で介護している方の精神的疲労感、周囲の人からの心無き言葉を受けていることを分かっていなかったのです…。

イメージ

この仕事を辞めよう思っていた時に「あなたは、まだまだですね」と呟かれたようでした。
今思えば、ケアマネの資格を取ることにしたのは、訪問看護師の仕事をしている時で、看護師の免許だけでは自宅で両親を看取ることは難しいと思い、ケアマネの勉強を始めたのです。今では、この仕事が天職となったように思います。このコラムを書くことになったのも、偶然ではない様に思えます。自分の仕事に対しての姿勢を改めて見つめ直す良い機会となりました。ニックの担当者さんに感謝いたします。「ありがとうございました」。

最後に介護の世界で働いている若い方々へのお願いです

今の仕事、大変ですよね。辛いことが多いと思います。出来て当たり前と思われています。休みも取りにくい。給与も多いとは言えません。やりがいだけで働いている方が殆どだと思います。ですが、介護の仕事は、いつか誰もが必要となる支援です。どうか誇りを持ち、働いていただきたいと思います。

私も振り返ると、辛いことが多かったように思います。そんな辛い時に助けていただいたのが、利用者様や家族の言葉でした。
「あなたのおかげで、自宅での生活が出来ているのよ」
と言われ涙が出る程励まされました。そして何よりもこの仕事が好きでした。いや今も好きです。好きだからこそ、この世界で長く働くことが出来ているのだと思います。

笑顔は大切

笑顔は大切

どうかコロナなんかに負けずに感染対策をし、また自分の命を大事に頑張ってほしいと思います。無理はしないでください。私も、もう少し頑張ってみます。
好きな事を仕事に出来るのは幸せですね。

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