福祉用具、介護用品、車いすの販売・レンタルはニック

株式会社ニック

コラム

現役ケアマネのリレーコラム【第2回】

ケアマネージャーのホンネを毎月更新!

A居宅介護支援事業所
大阪府
Weak Messages Create Bad Situationsさん

印刷用のPDFはこちら

介護の未来を考える

介護支援専門員になったきっかけ

はじめに、私は介護支援専門員になって約10年経ちました。出産までは介護とは異なる業界で働いていたのですが、その頃はまだその業界での育児休暇制度が不完全だったことと体調をくずしてしまったことから産休前に退職することになりました。その後、しばらくは専業で子育てをしていましたが、仕事をしたいという気持ちは持っており子育てをしながらでも就労することができる仕事を考えていました。できるならば次にはじめる仕事はずっと続けていきたいと考えていたころ、ちょうど子供が1歳になったタイミングでひ孫を見せに祖母の施設へ行く機会がありました。

早くに祖父を亡くし長く一人暮らしをしていた祖母ですが、転倒して大腿骨骨折し自宅に帰ることができずそのまま施設入所となっていました。面会前の案内をしてくださったスタッフさんは私の知らない祖母の話を色々聞かせて下さいました。母は知っていたようですが、戦時中のことや自分自身の娘時代のことなど、夜間に少し大きな音がすると戦時中を思い出すのか「早く逃げないと。」「炊き出しの手伝いに行ってくる。」と言うことが度々あったようです。

孫の私が知らなかった祖母の話を、赤の他人である施設の介護スタッフから教えられるという不思議な感覚となりました。身の回りの事をお手伝いするだけでなくコミュニケーションでその人の今まで生きてきた中での出来事等をきちんと聞き、施設での生活を支えてくださっているのだととても感動しました。その経験から興味を抱き介護の仕事について調べはじめました。

資格の取得

その頃の私は無資格だったので、調べて辿り着いた介護支援専門員の資格試験を受けるために、まずはヘルパー2級の講座を受講しました。まだ子供が幼稚園だったので土日しか受けられずで、終了するまでに少し時間はかかりましたが、何とか資格を取得し、子供の幼稚園の近くのデイサービスで約2年、子供が卒園するまで働きました。子供が小学生になり、その後登録の訪問ヘルパーで勤務し3年後には介護福祉士の資格取得、2年後に介護支援専門員の資格を取得しました。介護支援専門員の研修中であっても、継続していた登録ヘルパーの仕事がとても楽しく介護支援専門員になるかどうか迷っていましたが、介護支援専門員の資格証をもらう前から誘ってくださる事業所があり、そこでお世話になろうと決心し、資格証取得後すぐにその事業所で介護支援専門員として働き始めました。5年後、主任介護支援専門員の受講を勧められて取得し現在に至ります。

介護の未来について

日本では、現在65歳以上の高齢者数が約3600万人で、総人口の28%を占めています。2025年には団塊の世代が後期高齢者になり、2035年には団塊の世代ジュニアが65歳以上になります。進む高齢化により介護の需要はこれから伸び続けることが予想されます。介護ロボットの参入や介護福祉用具の発展などの面から、今回は介護の未来について考えてみたいです。

初めに介護の抱える今の課題について考えていきます。介護業界は慢性的な人手不足という課題があります。少子高齢化が進む日本では介護業界に入るもの以前に総労働人口も減少傾向にあります。外国人の受け入れや処遇改善手当などの国の対策もありますが、人手不足の解消までは至っていません。

そこで、介護の未来において重要になっていくのは、AIなどの機械の迎合となります。介護以外の業界でもAIやロボットなどの活躍はもう訪れ始めています。コンビニやスーパーなどでのセルフレジや飲食店の配膳などは機械が行うことが多くなり、店員はその補助を行うという形が多くなりました。他にも、物の生産など多くの物をAIや機械に頼り、生産しています。もう少し時代が進むと全て自動化されて人が完璧に必要なくなるかもしれません。介護業界では人材不足という問題がありますが、これを解決するために介護ロボットの積極的運用を考えてみましょう。そうすると、介護ロボットを使う上で起きるいくつかの問題点が見えてきます。それについて考えていきます。

介護ロボットの問題点

まずは、初めに挙げられるのは能力面での問題です。例として、ロボットの中の一つとしてペッパーがあります。ペッパーは利用者と会話や交流はできるものの手を動かして身体介助をすることはできません。なぜ、このペッパーは身体介助ができないのか。それは、このロボットがコミュニケーション専用として設計されているからです。ペッパーは話し相手や情報伝達ツールになることしかできないロボットです。

このように現在作られているロボットは部分的な作業しかできません。コストやスペースを考えるとこの部分ごとに作られたロボットを多く使うということは現実的ではないように感じます。ですが、ロボット開発は絶えず技術や性能を向上し続けます。その上でいつか人間と同等のサービスや作業ができるロボットができるかもしれません。

ですが、ここで二つ目の問題が生まれます。それは、予算や廃棄の問題です。高性能なロボットを生産するのには開発費や製作費がかかります。現在作られている部分的な働きしかできないロボットでさえ、かなりの値段と開発コストがかかります。そのようにして作成しても、人間の介護を介護士と同じクオリティーでできるほど高性能なものができるのかはわかりません。後述する問題からこれが難航であることがわかります。さらに、機械はいつか壊れます。要介護者の求める分を作ったとして、確実に廃棄の問題は出てきます。廃棄と新たな設備投資にかかる費用はかなりの負担になります。

そして、共感性という問題があります。機械に共感性を持たすことができなければ、利用者が何を必要としているのかがわからず役に立ちません。介護者がどのような時にどのようなことを感じるのかをプロミングしても、想定外のトラブルが起きることもゼロではないと思います。ロボットが共感性を得られるかは感情を持つということなので非常に難しいことではないでしょうか。このように様々な課題から、完全な介護ロボットの開発は難しく、これからも人が介護を行うと状況は続くと思います。

今後の日本の介護について

では、日本の介護はどのように進歩していくのか。それには介護福祉機器の進展があると思います。

まず、欧米の介護について考えていきます。欧米では、介護労働者の研究も盛んに行われていて、介護現場において福祉用具の力が大きく影響しています。一方、日本では介護福祉機器を使用して生活改善に結び付いた調査データは少なく、欧米ほどの研究も進んでいません。ここに、介護人口減少の要因のひとつがあります。日本の介護労働者は筋骨格系障害を抱えている労働者も多く、それも一因に離職率が上がっています。作業はすべて人の手で行うべきだという昔からの考えがこれらにつながっています。

ですが、これらを改善することで離職率を下げることも可能です。積極的に介護福祉機器を利用し、介護労働者にも負担がかからないようにすることで、安全な介護を行うことができます。つぎに具体的に介護福祉機器について考えていきます。日本の介護福祉機器は他国と比べても種類が豊富になっており、きめ細やかな配慮も行き届いています。課題としては、日本は移乗介護・移動支援・排泄支援・見守り・入浴支援・介護業務支援という6部門の市場がどれも小さく、今後高齢者自身の自立を促すような介護福祉機器がさらに求められます。

最後に

日本の介護サービス全般についてですが、自立を促す自立支援の発想や介護保険サービスの繊細さなど、優れている部分は多くあります。介護支援専門員が作成するサービス計画書の作り方はより自立を促す形に変化しており、介護保険の理念に「要介護状態または要支援状態の軽減または悪化の防止を資するよう」とあるように自立支援を主眼に置いたものになっています。少し前までは、要介護者の自立を阻むような見守り介助を中心とした支援内容の計画書が多く見られることも多くありましたが、ここ最近は要介護者が達成できそうな身近な目標を立てて達成させ、それをもって自立につなげていくような計画書に変化してきました。

結論として、日本の介護業界は高齢化や離職率の増加により暗い未来に見えますが、介護ロボットや介護福祉機器を複合的に用いることにより改善することが可能です。介護ロボットはコミュニケーションや生産・廃棄の問題や共感性の獲得など課題になる部分は大きくありますが、分野として発展していくことでそれらも解決することができます。介助サービスは旧来の精神論的な体制から抜け出し、介護福祉機器を積極的に活用することで、離職率の低下や介護労働者の負担の減少にも繋がることから、現在の活用方法や導入タイミングの見直しも大事になってくると思います。日本の介護の自立支援の発想や介護保険サービスの繊細さを武器に介護福祉機器を活用し、明るい未来を創造していきたいです。

一覧へ戻る