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株式会社ニック ニック 45周年

コラム

現役ケアマネのリレーコラム【第9回】

ケアマネージャーのホンネを毎月更新!

C事業所
愛知県
サクラさん

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みんなが笑顔になるために

はじめに

私が介護の仕事に興味を持ち始めたきっかけからお話しします。
なんの取り柄もないパート勤めの主婦だった私が、ふと目に止めた「ヘルパー2級の資格を取りませんか?」という言葉に興味をもち、なんとなく取った資格を活用してヘルパーやデイサービスで勤めて、介護福祉士の資格を取得してケアマネージャーの資格取得に際しては恥ずかしながら3度目で合格させていただきました。

なんとなくはじめた仕事でしたが、その時から今も変わらない気持ちとしては「自分もいつか誰かのお世話になる時が来るだろうけど、その時にはお返しもできるほどの力は無いだろうから、先にお返しをしておけたらいいかな! 誰かの役に立てたら良いな!」という気持ちから介護の仕事を始めました。

介護支援専門員としての自分

私が普段から心がけているのは、いつもご利用者様の目線に合わせてお話をさせていただく事です。それは見た目だけではなく、心も同様に目線を合わせるように心がけています。
いろいろなご利用者様と数え切れないほどの出会いを経験しておりますが、出会った数だけの対応の仕方があると思っております。そして第一印象はやはりとても大切だと実感していますので、悪い印象を与えないように気をつけています。

アセスメント能力が足りないと常々感じながら、この仕事をさせていただいており、訪問するたびに何か新しい事を一つでも聞き取って帰ってこられるように日々奮闘しております。

認知症のご利用者様から学ぶ事

現在65歳以上の高齢者の7人に1人くらいの割合の方が認知症を患っておられます。認知症と一言で言っても症状は人によってそれぞれ違うので、対応もそれぞれ違うと思っています。何度訪問しても毎回初対面のように出迎えてくださる方、いつも穏やかにニコニコ笑って緩やかな時の流れに招待してくださる方、いつも険しい顔でまるで悪人が来たかのように対応してくださる方。こちらが笑顔で接すると「何をニヤニヤしとる!」と怒鳴られ私の頬をたたかれた事もあります。

本当に出会った一人ひとりにいろんな思い出があります。認知症の方に接する時は、その人の思いを少しでも汲み取れるよう、その人が今どんな思いでいるのか少しでも理解できるよう努めているつもりです。これからもその姿勢は崩さずにこの仕事に臨みたいと思っています。

当たり前の幸せを感じてもらいたい

私が今まで多くのお年寄りのお世話をさせていただいて感じることは、多くの方が、出来る限り住み慣れた地域(自宅)で当たり前に普通の生活を送りたいと思っておられることです。じゃあ、当たり前の生活って一体何? どういう生活が当たり前なの? っと自問自答する事があります。

何も特別なことではなくて、今までと同じ風景の中で同じ時の流れの中で過ごせることが安心感につながるのではないかな? と思います。特に認知症の方がご家族の希望で施設に入るという時は、少し心が痛みます。
この方は施設に入ることを望んでいるのか?
施設に入ることを理解しているのか?
言われるがままに連れていかれて気がついたら知らない場所での生活が始まってしまう事は、とても不安だろうと思います。

しかしながら独居の認知症高齢者で、家族が近くにいないとなるとやはり自宅での生活は困難で、見守りのある中での生活を選択せざるを得ないのが現状です。家族のことを思えば施設入所は正しい選択ですが、果たして本人にとっては正しい選択なのか? とご本人様が認知症の方だとの本心が聞けないだけに毎回少し心が痛みます。

コロナ禍での支援のあり方

新型コロナウイルスが流行りはじめて2年が過ぎました。初めの頃は対岸の火事だったのが、あれよあれよ! と広まり緊急事態宣言が発令されると訪問もままならなくなり、デイサービスにも安心して行けない高齢者が自宅に篭る事が多くなり、ケアマネの訪問を断られる方もいらっしゃいます。

振り返ればこの2年の間で私たちの生活はずいぶん様変わりしてしまいました。多くの人が集まって楽しく大声で会話をすることさえもままならない世の中になってしまい、地域のコミュニティさえ閉鎖している状況の中、どうしたら高齢者の皆さんが少しでも楽しい生活が送れるかを考えます。
この先コロナの時代がどれくらい続くかわかりませんが、時代に沿った支援に形を変えていく柔軟性も大切だと感じています。

私たちの地域の取り組み

当事業所が担当する地域の中で、住民が主体になって認知症カフェを運営している地域があります。これはとても素敵な取り組みで、自分たちが住んでいる地域を自分たちの手で支えようという取り組みです。

認知症の方を地域で支える温かい触れ合いの場となっています。そこまで出向く足のない方には、ボランティアさんがお家までお迎えに来てくださるので、出席率も比較的保たれています。私たちの担当する利用者様も交えてケアマネも時間がある時は顔を出し、普段コミュニケーションの機会がない地域の方とも顔見知りになれる貴重な場所です。

地域の皆さんもありがたいことに私たちの参加を歓迎してくれています。今後もこういった地域の活動には積極的に参加していきたいと思います。そのためには、一日も早くコロナが収束して不安なく人が集まれる機会が戻ってくることを願います。

仕事とプライベートの切り替え

私たちケアマネージャーは時間外やお休みの日でも電話が入ったり、急な訪問依頼があったりする事が少なからずあります。あくまでも個人的な主観ですが、私はお休みはきっちりとりたい派です。休みを返上してまで仕事に精を出すつもりはありません。私たちも生身の人間なので、ゆっくり休みたいし、好きなことに没頭したいです。
だからといって休みに電話を受けるのが嫌とかそう言うことではなく、電話対応さえすれば安心して休みが取れるならそれはそれで、私としては問題ないと思っています。自分の人生が充実していなくては、他人の生活の良いケアマネジメントはできないんじゃないかな? と感じています。

ちなみに自分はどんな休日を過ごしているかというと、今は子供たちもそれぞれ独立して、夫婦2人の生活になって、もっぱら休みの日は夫と2人で出かけることが多いです。元々アウトドア派の夫婦ですので、休みに家でじっとしていることはほとんどありません。コロナ禍で遠くに出かけることはできませんが、お茶を飲みに行ったりドライブしたりして過ごします。あとは個人的には韓国ドラマやK-popが好きで、趣味が高じて、六十の手習で韓国語の勉強を始めて、2年ほどになります。(まだ60にはなっていませんが…笑)
今はそれが楽しくて楽しくて仕方がありません。いくつになってもやりたい事ができる意欲を持ち続けたいなぁと思います。

もう一つの楽しみは、仕事のストレスを発散すると言う意味では以前の職場の仲間や一緒に介護の勉強をした仲間とお酒を呑んでお互い悩みを聞き合う時間が次の仕事の活力になっています。コロナが落ち着いて、以前のようにそう言う時間が持てる日が早く来て欲しいです。
自分たちも高齢者に近づいて来ている今、この先の人生をどう過ごしていこうかを夫や友人とはよく話し合います。現実味を帯びていない夢のような話をすることもありますが、それはそれで楽しいです。

アセスメントの中で皆さんに
『この先どうなっていたいですか? どんな目標をお持ちですか? 生活の中で楽しいと感じる時はどんな時ですか?』
と単刀直入に聞くこともあります。そんな時に返ってくる答えは
『今のままでいいんじゃないかな! それ以上は望めんよ! 歳を取ってしまったから!』
と言われる方がほとんどですが、私としては目標が達成できるかできないかは別として、ご本人様の心がワクワク、意欲的に生活できる目標を持っていただけるようなケアマネジメントがしたい、できたら嬉しいです。なかなか難しいですが…。大きなことでなくても毎日の生活の中でほんの小さな喜びでも感じていただきたいと思いながら毎日ご利用者様に接しています。

最後に

まとまりのない話を長々と綴ってしまいましたが、今の日本は超高齢社会に入っていますが、若い人は子供を生み育てやすく、高齢者は不安のない老後が送れる幸せな国であり続けて欲しい、老いも若きもが安心して暮らせる社会であって欲しいと願うばかりです。

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