第6章 「認知症」予防の話 第1節 何を予防?原因がはっきりしない中、何を予防するのか?2項・予防トレーニングの最大のリスク
予防とは脳機能が低下しない様にトレーニングすること
「何を予防するか」は脳機能を維持するためのトレーニングと言えるかもしれません。
神経細胞が壊れて、脳機能に携わる神経回路が少しずつ低下、障害されていくなら、それ以上に、残った多くの神経細胞を使って、新たな神経回路の作成や修復といった作業を行うのです。
脳組織には再生、可塑性、強化、学習といった機能が備わっていますので、それを利用して脳機能の低下を防ぐという事です。
要は脳機能が低下しない様にトレーニングを行うことです。
記憶機能が落ち始めたら、記憶機能を維持するためにトレーニングを行うのです。また、落ちない様に日頃からトレーニングを行なう習慣をつけるのです。
言語機能の低下がみられれば、言語機能のトレーニングを行ない、言語機能が低下しない様に日頃からトレーニングを心掛けましょう。
歳を取るという事が認知症のリスクの第一番!?
また、予防ですから、認知症疾患に誘導する要因を捜して、それらの要因を改善するのも大事な予防になります。
こうした認知症疾患になって行く道はイロイロあります。疫学調査でこれらが関係するというレポートが多く出て居ます。古くはアルミニウム説などがありました。
したがって、認知症発症のリスクが高まるという統計調査から、年齢と言うのが一つ言われています。年を取るという事がリスクの第一番というのは、加齢に伴い発症が増えていくことです。85歳を超えるとそのリスクは増大し3割を超えてきます。これは困ったものです。予防の方法が無いのです。年をとることは自然ですし、日々刻々年を取って行きます。これを止めることは出来ません。従ってその発症リスクの第一番の加齢は、予防では諦めましょう。
占部 新治(うらべ しんじ)
- 経歴
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- 1976年
- 北海道大学 医学部 医学科卒業
- 1980年
- 北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
- 1980年
- 北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
- 1981年
- 北海道大学 医療技術短期大学部 理学療法学科 助教授
(現:北海道大学 医学部 保健学科)
- 1995年
- 札幌医科大学 精神医学講座 講師 外来医長
- 1999年
- 札幌医科大学 保健医療学部 作業療法学科 教授
- 2001年
- 札幌医科大学 大学院 保健医療科学研究院 教授
- 2007年
- 北海道大学 大学院 保健科学研究院 教授
- 2011年
- 京都 三幸会 北山病院 副院長
- 2013年
- 京都 三幸会 第二北山病院 副院長 現在に至る
- 専攻領域
- 精神医学、 神経科学、 リハビリテーション医学
- 主な著訳書
- 日経サイエンス「 運動の脳内機構」 E.V.Everts著
- 主な著書
- 臨床精神医学講座 S9 アルツハイマー病(中山書店)、精神医学 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野(医学書院)、「学生のための精神医学」(医歯薬出版)
- 所属学会
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- 精神神経学会 専門医、専門指導医
- 老年精神医学会専門医、専門指導医
- 認知症学会専門医、指導医
- リハビリテーション医学会 臨床認定医
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