第6章 「認知症」予防の話 第2節 すぐに役立つ予防、これはやってみると良い予防策4項・病気に追いつかれないようにする
井戸端会議は最高のトレーニング!?
生活療法としては、毎日の生活で話すこと、動くこと、食べる事、手を動かすこと、モノを書くこと、モノを造ること、調理することが基本的なトレーニングで、これさえできていると高齢者独居になっても認知症の予防で生活維持が出来て、施設に入らなくても済みます。
話すことがまず大切です。自分の気持ちを伝え、自分の意思、主張が出来ます。
これで、認知症はかなり予防で来て、相手の話が理解でき、会話が楽しくまた疎通性が維持できます。
そのためには、日頃何方とでもお話が出来て、お友達になれることが重要です。
井戸端会議は最高のトレーニングの場になります。噂話は楽しいですし、肩ひじ張らずに言いたい事を言えて、日頃の憂さやうっぷんも晴らせますのでストレス解消にもなり認知症予防が出来ます。
脳機能の免疫機構とは
歩き回ること、自分の脚で好きなところへ行ける幸せは最高です。
毎日、目的地を決めていろんな道筋で行く事。同じ道を歩いていると認知症への路を進むことになります。道筋を変えることは、視空間認知の大事なトレーニングです。目的地と現在地を頭の中で描き、こちらへ行けば次はあちらの方へ進めば辿り着く、そういうことを脳で想像して方向を決めるのは、こうしたトレーニングで機能が鍛えられます。
これをしないと、道が分からず、方角も分からなくなり、認知症の人の迷子症状に繋がって行きます。
こういう観点から、予防をされるのもアリかなと考えます。
根拠は、神経細胞が壊れても、神経回路全部が無くなりはしません。ヒトの脳の神経細胞のつながりはしっかりしています、その結びつきを日々の食事材料で更新して維持しています。しかも、一つの神経細胞だけがその脳機能を担っているわけではありません。多くの神経細胞で回路を幾重にもして機能を作り上げています。その回路を日々結びつけて働かせて、訓練していれば回路は幾重にもしっかり維持されるので、そうおいそれとは破壊されません。一つ壊れても、次の新しい回路を作ったり、再生したりして機能を復旧させてくれます。いわば、脳機能の免疫機構です。
ちょっと言い過ぎかもしれませんが、再生能力があるので日々の訓練で病的な破壊に歯止めをかけられます。
病気に追いつかれないように努力すれば、追いつかれる前に大往生を迎えられることと思います。
食事や日々のトレーニングをコツコツ積み重ねていけば、「稼ぐに追いつく貧乏なし」
です、認知症に追いつかれず、認知症を患ったとしても症状はゆっくりとしか進まないでしょう。心配しないだけでも脳状態は健全な状態で維持されますので、気を楽に日々を過ごせます。
占部 新治(うらべ しんじ)
- 経歴
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- 1976年
- 北海道大学 医学部 医学科卒業
- 1980年
- 北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
- 1980年
- 北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
- 1981年
- 北海道大学 医療技術短期大学部 理学療法学科 助教授
(現:北海道大学 医学部 保健学科)
- 1995年
- 札幌医科大学 精神医学講座 講師 外来医長
- 1999年
- 札幌医科大学 保健医療学部 作業療法学科 教授
- 2001年
- 札幌医科大学 大学院 保健医療科学研究院 教授
- 2007年
- 北海道大学 大学院 保健科学研究院 教授
- 2011年
- 京都 三幸会 北山病院 副院長
- 2013年
- 京都 三幸会 第二北山病院 副院長 現在に至る
- 専攻領域
- 精神医学、 神経科学、 リハビリテーション医学
- 主な著訳書
- 日経サイエンス「 運動の脳内機構」 E.V.Everts著
- 主な著書
- 臨床精神医学講座 S9 アルツハイマー病(中山書店)、精神医学 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野(医学書院)、「学生のための精神医学」(医歯薬出版)
- 所属学会
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- 精神神経学会 専門医、専門指導医
- 老年精神医学会専門医、専門指導医
- 認知症学会専門医、指導医
- リハビリテーション医学会 臨床認定医
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