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コラム

認知症全般知識に役立つコラム

認知症学会専門医 占部 新治先生による、「認知症全般知識に役立つコラム」です。第1〜第4 金曜更新!

占部先生のプロフィール

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第2章 対応の話 第2節 困る症状、どう対処したらよいのかの秘訣1項・排泄問題、徘徊問題への対応

食事の内容を見直しや、早めのトイレ誘導を。

排泄に失敗が見られるようになりますと、先ずは早めのトイレ誘導です。先手先手で誘って排泄を促します。時間に余裕があるとお互いに穏やかに、ゆっくりと出来ます。切羽詰ると気持ちに余裕がなく、焦って失敗しない様にと言葉も行動も荒っぽくなってしまい、機嫌も悪くなります。
しかし、失敗されても(小さい方でも、大きい方でも)出ないよりは有難いので、感謝の気持ちを持って“ヨー出た、元気な証拠”と言ってあげると、不思議と自分も相手も気持ちが緩みます。
よく失敗が心配で、飲水を減らされることがよくありますが、寝る前は良いのですが、日中されますと脱水になる危険性が膨らみますので、飲水は勧めてあげるようにしましょう。

排便は、介護者にとっては更に負担の重い問題です。
これを失敗されると、布団や絨毯、畳も汚れて、洗うだけでは不十分ですべて捨てて新しいモノを購入せねばならず、手間暇のかかるのと経済負担が大きいです。
また、高齢者では便秘傾向があるため、便秘予防に歩くなどの運動が腸管刺激になりますし循環改善にもなります。
食材は消化の良いもので、繊維の多い野菜などを食べるように心がけることが大切です。水分補給も便形状に大事です。排便には胃結腸反射の事を考え、朝食をしっかり食べて便器に向かう習慣を付けましょう。トイレでは力みやすい様に前に横棒があると良いです。
方向としては「出るのは健康で元気な証拠」と考えることです。

GPSを持ってもらうなど、居場所がわかる対策を。

徘徊は目的をもたない出歩きで、目的を持った出歩きで道を間違えるのと二通りがあります。 従って目的無い出歩きは探すのが難しいです。道の間違いもパニックになられると行くあてもない状態と同じ行動になります。
徘徊は昼夜を問わずに起こります。とくに屋外への徘徊は、行き倒れやそのまま行方不明になることもあり重大な問題となります。
近年、高齢者や、認知症高齢者の方の行方不明の届け者数は増加して2018年度は1万6927人に達しています。家族としてもつらい状況で、残念でならない事です。何とかすれば何とかなったのではと、悔やまれます。同居の方は辛い思い出として残ります。

しかし、家からいなくなって警察に保護されたりすると、対策として、戸口や窓の施錠を強化されます。その扉をガタガタ揺さぶって外へ出ようとされる認知症の方を目の当たりにしますと、自由を奪っているという思いが噴出して辛い気持ちでいっぱいになります。ましてご本人から、「なんで開かへんのや」「出してえーな」「なんで閉じ込めるのや」と言われると説明もついつい弱腰となり、その場から逃げ出したくなります。悪いことをしている、親をこんな目に合わせてと自責が強くなって、ストレスな毎日になり家に居て相手するのが嫌になって、逃げだしたくなり帰宅拒否症候群になります。

介護の方は自責から抑うつ症状が芽生えて、何時しか不眠、抑うつ感、意欲・食欲減退をみて鬱への道を歩み始めます。本人以外に絶対に患者を出さない、という介護の目標が崩れます。鬱になりますと認知症になるオッズ比が上昇します。

このような時、対応策は一緒に散歩するよう言われますが、これをやり始めると介護者の負担が大きくなり、屋外での保護的対応は道路事情や車の危険性もあって困難です。 どうしても自宅で介護の場合は、ご本人にGPSを持っていただくことで居場所が分かるようにされる手立てがあります。ですが、認知機能低下がありますから、交通事故の可能性は非常に高く、まして線路内に立ち入られる場合もあって危険性が高くなります。

この時は、医療機関や包括センターに相談されることをお薦めします。
身体活動や意識、眠気に悪影響を及ぼさないで解決する治療方法もありますので、是非ご相談ください。 方向性としましては「医療機関に相談」です。

占部 新治(うらべ しんじ)

経歴
1976年
北海道大学 医学部 医学科卒業
1980年
北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
1980年
北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
1981年
北海道大学 医療技術短期大学部 理学療法学科 助教授
(現:北海道大学 医学部 保健学科)
1995年
札幌医科大学 精神医学講座 講師 外来医長
1999年
札幌医科大学 保健医療学部 作業療法学科 教授
2001年
札幌医科大学 大学院 保健医療科学研究院 教授
2007年
北海道大学 大学院 保健科学研究院 教授
2011年
京都 三幸会 北山病院 副院長
2013年
京都 三幸会 第二北山病院 副院長 現在に至る
専攻領域
精神医学、 神経科学、 リハビリテーション医学
主な著訳書
日経サイエンス「 運動の脳内機構」 E.V.Everts著
主な著書
臨床精神医学講座 S9 アルツハイマー病(中山書店)、精神医学 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野(医学書院)、「学生のための精神医学」(医歯薬出版)
所属学会
  • 精神神経学会 専門医、専門指導医
  • 老年精神医学会専門医、専門指導医
  • 認知症学会専門医、指導医
  • リハビリテーション医学会 臨床認定医

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