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コラム

認知症全般知識に役立つコラム

認知症学会専門医 占部 新治先生による、「認知症全般知識に役立つコラム」です。第1〜第4 金曜更新!

占部先生のプロフィール

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第1章 症状の話 第1節 これも症状3項・初期症状がどんどん連鎖していく

行動が億劫になり、物事に興味を示さなくなる

手慣れたことが上手くいかないため、毎日繰り返している筈の行動が、スラスラと流れるようにいかず、戸惑ってしまい、何度も確認するような行動を繰り返すが、上手くいかない。
こうした状態が続くと、さらなる症状を引き起こします。

会合や集まりで、話の筋道が追えず言葉を挟めない。聞いていてもよく理解できず、適当に相槌を打ってしまう。聞いていて話がよく分からず、発言することが減ってくる。
次第に興味を持てずついつい他のことを考えて、眠気を催してしまう。

文字を読むのが億劫になり、本や雑誌や新聞にも興味がなくなる。
そのため、年金や介護保険などの重要な事項の知らせを読んでもよく分からず、ついつい書類や郵便物を放置してしまう。

新しい家電製品や、車や自転車などの取り扱い説明書を読んでも理解できないことが多くなってくる。 かといって、店に入って品物について尋ねたり、説明を聞くことも億劫なので、知ったつもりで不用意に買ってしまう。そして、同じものを買ってきてしまうために、同じ本が並び、冷蔵庫に同じものが溜まっている。

また、モノの数を数えるのが苦手になります。
机に置かれた硬貨を目で数えることが難しく、五円玉が混じっていて十円玉が何枚、五円玉が何枚と数え上げることができず、一枚一枚拾いあげながら数えないと出来なくなる。
集合した人数を数えることが正確にできなくなる。男性何名、女性何名などと数えることが困難になる。
チョコレートの粒を人数分に分けるときに手間取って、何度も数え直して時間がかかってしまう。

服を汚すことが多くなり、身だしなみがだらしなくなる。
同じ服を続けて着て、清潔感が消え何となく小汚い様相になり、独特の匂いがするようになる。
ボタンを掛けると、穴とボタンがずれて穴が余ってしまうが平気である。
湯船に、靴下を履いたまま入ってしまう。

車の運転に見られる症状

見通しの良い直線でゆっくり法定速度に届かないゆっくりした速度で走るも、カーブ手前で減速もせずにハンドルを切る。
バックで駐車するときに左右を何度も確認するもいきなりの速度で後進する。
信号があって見ているが、赤でも通り抜けようとしてしまう。
左折や右折をしたときに、どちらの車線に入るのかが分からないで入ってしまう。
高速道路のパーキングエアリアから本線に戻るとき、どちらの方向に向かうのかが分からなくなってしまう。
エンジンをかけて、さあ発進と言った時に、アクセルペダルがどっちだったか分からない。
曲がろうとして、ウインカーを点けようとしてどのレバーを操作すればよいのかが分からない。
行き慣れたところなのに、どの道を曲がるのかが分からなくなって道の真ん中で立ち往生してしまう。
セルフ給油のスタンドで、操作が分からず助けてもらい、次からセルフを使わなくなる。
広くもない駐車場で、自分の車がどれか分からなくなってまごついてしまう。

車の運転は複数の行動やを同時に求められます。
1つの「上手くいかない」が危険につながるのです。

占部 新治(うらべ しんじ)

経歴
1976年
北海道大学 医学部 医学科卒業
1980年
北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
1980年
北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
1981年
北海道大学 医療技術短期大学部 理学療法学科 助教授
(現:北海道大学 医学部 保健学科)
1995年
札幌医科大学 精神医学講座 講師 外来医長
1999年
札幌医科大学 保健医療学部 作業療法学科 教授
2001年
札幌医科大学 大学院 保健医療科学研究院 教授
2007年
北海道大学 大学院 保健科学研究院 教授
2011年
京都 三幸会 北山病院 副院長
2013年
京都 三幸会 第二北山病院 副院長 現在に至る
専攻領域
精神医学、 神経科学、 リハビリテーション医学
主な著訳書
日経サイエンス「 運動の脳内機構」 E.V.Everts著
主な著書
臨床精神医学講座 S9 アルツハイマー病(中山書店)、精神医学 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野(医学書院)、「学生のための精神医学」(医歯薬出版)
所属学会
  • 精神神経学会 専門医、専門指導医
  • 老年精神医学会専門医、専門指導医
  • 認知症学会専門医、指導医
  • リハビリテーション医学会 臨床認定医

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